日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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コムギ無細胞系を用いたモデル植物におけるユビキチン化経路探索法の構築
*高橋 宏隆関 原明篠崎 一雄遠藤 弥重太澤崎 達也
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p. 0532

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抄録
タンパク質のユビキチン化は、細胞周期やシグナル伝達、遺伝子発現を始めとする多くの細胞プロセスに関わる重要な翻訳後修飾であり、ユビキチン活性化酵素E1、結合酵素E2ならびに連結酵素E3を介して行われる。モデル植物であるシロイヌナズナにおいては、これらの構成因子をコードする1,300以上の遺伝子が明らかとなっているが、個々の詳細な機能については未詳な点が多い。そこで本研究では、これらの事象を明らかとする足がかりとして、コムギ無細胞タンパク質合成系とエナジートランスファーアッセイ系であるAlphaScreenを組み合わせた、in vitroにおける網羅的なタンパク質ユビキチン化の検出系の構築を目指した。今回、未精製のシロイヌナズナ組換えタンパク質を用いた解析から、29個のE2のユビキチン化を検出した。さらに、これまで生化学的にほとんど未解析であったHECT型E3およびRING型E3のポリユビキチン化を検出した。興味深いことに、未精製のE2やE3タンパク質は、E1などの上流因子の添加を必要とせず、コムギ無細胞系内在のE1やE2によって機能することが明らかとなった。一方、コムギ無細胞系には、アッセイ系の障害となる26S proteasome 活性はほとんど認められなかった。今後、本実験系を基盤とし、シロイヌナズナのユビキチン化経路の解明に向けて、より簡便かつ多目的なアッセイ系の構築を進める。
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© 2009 日本植物生理学会
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