抄録
前回の大会でオオムギから単離した排出型ケイ酸トランスポーターHvLsi2についてその単離と発現パターンなどを報告した。HvLsi2はイネOsLsi2と約86%の類似性があり、ケイ酸のefflux輸送活性を持つ。またmRNAは主に根で発現しており、この発現はケイ酸の添加によって低下した。さらに異なるオオムギ品種でこの遺伝子の発現量はケイ酸の吸収量と高い正の相関があった。今回はHvLsi2の細胞内局在性やイネlsi2変異体に対する相補性試験を行ったので報告する。オオムギの根からミクロソームを抽出し、ショ糖密度分配法で分画後、HvLsi2抗体や各種マーカータンパク質抗体によって細胞内局在を調べた。その結果HvLsi2は細胞膜画分に局在していることが明らかになった。また免疫組織染色によりHvLsi2の組織局在を調べると根の内皮細胞のみに局在し、向心側への極性局在は見られなかった。植物でのHvLsi2のケイ酸輸送活性を調べるために、OsLsi2プロモーター制御下でHvLsi2をイネのlsi2変異体に形質転換体したところ、ベクターコントロールに比べ変異体によるケイ酸の吸収が増加した。また興味深いことにHvLsi2はイネの根で向心側への極性局在を示した。現在HvLsi2とOsLsi2のタンパク質あたりのケイ酸輸送活性の比較およびmRNAの発現量の比較等の解析を行っている。