日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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クロロフィル誘導体が光化学系I-Chl a結合部位に結合し、励起エネルギー伝達機能を持つための条件
*池上 勇渡辺 裕次森川 陽介大竹 伸也
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p. 0570

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抄録
光化学系1複合体からエーテル処理によってChl aの大部分を除去し、P700当たり約13分子のChl aしか含まない標品を得た。これを用いて、様々なChl a誘導体のChl a結合部位への結合能および光エネルギー伝達効率を比較した。(1) ポルフィリン環側鎖がChl aと異なるChl b、Chl a-epimer、Chl dなどはChl a結合部位に結合し、P700への励起エネルギー伝達活性も、Chl dを除き、Chl aと同程度であった。Chl a結合部位はポルフィリン環側鎖の構造変化に対して許容度が高いと思われる。(2) 金属置換Chl aはChl a結合部位に結合するが、光エネルギー伝達活性を持つもの(Zn2+、Cd2+、Sn2+)と持たないもの(Hg2+、Cu2+、Fe3+)に分けられた。Mgの外れたPhe aは特異的には結合せず、P700への光伝達機能は認められなかった。中心金属はChl aを結合部位に固定するのに重要であるが、光伝達機能を持つためには、励起分子の寿命がある程度長いことが必須である。(3) フィトールを持たないZn-Chlide aの複合体への結合能はZn-Chl aの2倍以上高かったが、活性はZn-Chl aより低かった。フィトールがないと結合部位以外にも結合し、その結果、秩序だった光エネルギーの伝達はでき難くなると推定された。
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© 2009 日本植物生理学会
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