抄録
葉緑体やシアノバクテリアにおいて酸素発生を担う光化学系II複合体(以下PSII)は20種類以上のタンパク質と色素分子、金属原子およびキノン等の電子伝達物質からなる超分子複合体であり、通常は二量体を形成し活性型となる。近年、X線結晶構造解析によりPSIIの全体像は解明に近づいたが、このような多くの因子による複合体の形成過程については未だ不明な点が多い。
Synechocystis sp. PCC 6803において、複合体形成の初期段階におけるPsb27のコアタンパク質からの解離が、酸素発生反応を触媒するMnクラスターの形成やそのほかの表在性タンパク質のアセンブリーに重要な働きをしていることが報告されている。本研究ではPsb27にヒスチジンタグを付加することにより、PSIIのアセンブリー中間体をアフィニティーカラムクロマトグラフィーによって単離した。単離した中間体をBlue-Native PAGEの後SDS-PAGEで二次元展開した結果、CP47やD1といったPSIIコアタンパク質の含有量が異なる特徴的な二つのモノマーを検出することができた。Psb27はN末端が脂質で修飾されているリポタンパク質であることから、Psb27の複合体への結合と解離に未知のファクターが関与している可能性を視野に入れ、詳細なタンパク質解析を進めている。