日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

マイクロアレイを用いたスギ雄性不稔に関連する遺伝子群の解析
*二村 典宏斎藤 真己篠原 健司
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0672

詳細
抄録
近年、花粉を飛散しない雄性不稔スギが各地で発見され、スギ花粉症対策として利用する取り組みが進められている。富山不稔1号は最初に発見された雄性不稔スギであり、遺伝様式の解析により雄性不稔形質が単一の劣性遺伝子に支配されていることが明らかになっている。しかし、その分子機構は不明である。本研究では、スギESTのクラスタ配列情報をもとにDNAマイクロアレイを設計し、富山不稔1号のF2家系を用いて、正常個体と雄性不稔個体の雄花で発現する遺伝子の網羅的解析を行った。光学顕微鏡による花粉発達過程の観察では、花粉母細胞期や減数分裂期には違いが見られず、不稔個体では四分子から小胞子が放出される時期に崩壊することが確認された。マイクロアレイによる解析の結果、正常個体と不稔個体の雄花で4倍以上の発現量の有意な違いが見られたクラスタ配列数は、花粉母細胞期と減数分裂期では20程度であったのに対し、小胞子期では100以上存在した。雄性不稔個体の小胞子期において発現量の減少が見られた配列には、細胞壁の構築に関連する遺伝子と相同性を示す遺伝子が多かった。本発表では、マイクロアレイの結果を基に、雄性不稔原因遺伝子により影響をうける遺伝子群とその役割について考察する。
著者関連情報
© 2009 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top