抄録
昨年の大会で、われわれはステビオール合成活性をもつシトクロームP450遺伝子をシロイヌナズナゲノム中からクローニングしたことを報告した。本遺伝子を過剰発現するシロイヌナズナは、活性型ジベレリン、GA4を含む13位非水酸化GAの量が減少し、逆に活性型GA1(シロイヌナズナにおいてはGA4よりも生物活性が弱い)を含む13位水酸化GAが増加しており、GA合成不全変異体に似た半わい性を示した。今回、同様の活性を持つイネのオルソログ遺伝子の探索を、同じCYP714ファミリーに分類されるイネのP450遺伝子群を対象に行った。その結果2つの遺伝子についてシロイヌナズナで過剰発現させた場合、半わい性を示すことが明らかになった。GA内生量を測定したところ、各過剰発現シロイヌナズナともシロイヌナズナのステビオール合成遺伝子過剰発現体と似たGA内生パターンを示した。以上の結果から、イネには13位水酸化ジベレリンの生合成に関わるシトクロームP450遺伝子が少なくとも2つ以上存在すると考えられた。