日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナ共発現ネットワークを用いた乾燥ストレス応答性トランスクリプトーム解析
*浦野 薫圓山 恭之進尾形 善之鈴木 秀幸斉藤 和季柴田 大輔篠崎 和子篠崎 一雄
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p. 0906

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抄録
乾燥ストレス下の植物において、アブシジン酸(ABA)は細胞内シグナル伝達や多くの遺伝子の発現誘導に重要な働きを行う植物ホルモンである。我々は、シロイヌナズナABA合成関連遺伝子NCED3の欠損変異体(nc3-2)を実験材料とし、トランスクリプトミクスとメタボロミクスを組み合わせることで、乾燥ストレス下で合成されたABAが制御する遺伝子および代謝ネットワークの包括的な解明を行った。本発表では、ネットワーク解析に基づく共発現予測アルゴリズムをnc3-2におけるトランスクリプトームデータに適用して、乾燥ストレス下でABAの制御を受ける遺伝子間の相関関係について解析した。その結果、21500の遺伝子は、お互いに高い相関関係を示す120のグループに分類された。転写レベルでABA合成の影響を受ける多くの遺伝子は、そのプロモーター上にABRE配列が見いだされたが、共発現解析においてもABRE配列を持つ多くの遺伝子が高い相関関係にあることが明らかになった。現在、上述したグループも含めて、乾燥ストレス下でABAの制御を受ける遺伝子を含むグループに注目し、メタボローム解析の結果を基にそれらの機能解析を進めている。
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© 2009 日本植物生理学会
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