日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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デヒドロアスコルビン酸還元酵素過剰発現タバコのアルミニウム耐性
*殷 俐娜Eltayeb Amin Elsadig王 仕穏上中 宏典辻 渉田中 浄
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p. 0931

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抄録
アルミニウム(Al)ストレスは植物細胞において活性酸素種の生成を通して酸化ストレスを引き起こすことが広く知られている。アスコルビン酸は植物細胞において活性酸素消去系の主要酵素アスコルビン酸ペルオキシダーゼの基質であり、それ自身が抗酸化物質でもある。デヒドロアスコルビン酸還元酵素(DHAR)はモノデヒドロアスコルビン酸還元酵素(MDAR)と共に、アスコルビン酸の再還元に関わる酵素である。DHARがアルミニウムストレスから植物を守ることを実証するために、シロイヌナズナの細胞質型DHARを過剰発現する形質転換タバコを作出した。また、シロイヌナズナのMDAR過剰発現タバコも作出した。アルミニウムストレス下で、DHAR形質転換植物は、野生型と比べて、より良い根の伸張、より低い脂質過酸化、原形質膜の構造のより低い損傷を示した。しかし、24時間のアルミニウム処理後に形質転換植物と野生型植物の根端におけるアルミニウム集積の差は認められなかった。形質転換植物は葉と根において、より高い還元型アスコルビン酸/デヒドロアスコルビン酸の比、より高いDHARとアスコルビン酸ペルオキシダーゼ活性を示した。MDAR過剰発現タバコにはアルミニウム耐性の向上が認められなかった。私たちはDHAR形質転換植物のアルミニウム耐性の向上は活性酸素消去能力改善によると考えた。
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© 2009 日本植物生理学会
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