日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ソバ葉におけるメタノール非抽出プロアントシアニジンの生理機能の推測
*鈴木 達郎瀧川 重信横田 聡六笠 裕治野田 高弘橋本 直人山内 宏昭遠藤 千絵
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p. 0949

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抄録
ソバは葉、子実、花弁等にメタノール非抽出プロアントシアニジン(PAS-Cya)を蓄積するが、その生理機能は未知である。そこでPAS-Cyaをほとんど蓄積しない突然変異体(劣性単因子支配)と通常体の比較によるPAS-Cyaの生理機能推測を試みた。材料には栄養生長期のダッタンソバ葉を用い、PAS-Cyaはdimethylaminocinnamaldehyde(DMACA)で染色し観察した。変異体の葉は一部に病班様の斑点が生じ、斑点部分にはアントシアニンを蓄積していた。斑点は、生じた後数日間は面積が拡大したが、その後は変化しなかった。PAS-Cyaは、斑点部分には蓄積していたが、非斑点部分にはほとんど蓄積していなかった。一方、通常体の葉では斑点の形成は見られず、また葉全体にPAS-Cyaを蓄積していた。次に、葉の断面切片を作成し顕微鏡で観察した。変異体は、斑点部分の柵状組織・海綿状組織にPAS-Cyaを蓄積していたが、非斑点部分および斑点部分の表皮にはPAS-Cyaを蓄積していなかった。通常体は、表皮部分・柵状組織・海綿状組織のすべてにPAS-Cyaを蓄積していた。以上の結果から、斑点の形成・面積拡大阻害と、PAS-Cyaの蓄積には深い関係があると考えられる。
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© 2009 日本植物生理学会
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