日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナの高塩環境下における液胞動態と塩蓄積機構の解析
*濱地 康平吉田 勝久大西 美輪小田 祥久植村 知博郷 達明佐藤 雅彦馳澤 盛一郎中野 明彦前島 正義深城 英弘三村 徹郎
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p. 0043

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抄録

多くの高等植物は高塩環境におかれると生育阻害をうける。生育阻害は細胞質におけるNa+濃度増加の結果おこる、浸透圧上昇による吸水阻害、K+/Na+比の減少あるいは活性酸素の増大により引き起こされると考えられている。細胞質でのNa+濃度の上昇を防ぐ機構の一つとして植物細胞では液胞でのNa+の隔離が良く知られている。これまで我々はオオムギやマングローブ培養細胞、シロイヌナズナの根において高塩環境下で、細胞成長を伴わずに液胞体積が増大していく現象が観察している。
本研究では高塩環境下におけるイオン隔離と液胞動態の関係を明らかにするため、分子レベルでの解析が容易であるシロイヌナズナ植物個体とシロイヌナズナ培養細胞Deep株を用いて細胞内でのNa+の分布と液胞、小胞の動態について解析を行った。高塩処理をすることにより植物体の根端細胞、培養細胞において液胞体積の増大が観察された。このとき液胞膜の挙動をGFP蛍光を用いて観察したところ小胞様構造が激しく運動する様子が観察された。Na+/H+対向輸送体(NHX1)抗体を用いて免疫染色を行ったところ細胞質に小胞様構造が観察された。またNa+と結合すると蛍光をだす Sodium Greenを用い、細胞内のNa+分布を観察したところ、植物体、培養細胞ともに体積が増大した液胞内と周囲の小胞様構造にNa+が蓄積している様子が観察された。

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© 2010 日本植物生理学会
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