日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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オルガネラ―核間に存在するDNA複製を協調させる分子機構の解析
*小林 勇気華岡 光正田中 寛
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p. 0354

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抄録
植物細胞において、核DNA複製(nuclear DNA replication: NDR)とオルガネラDNA複製(organelle DNA replication: ODR)を協調させる機構については殆ど明らかにされていなかった。近年、我々は単細胞紅藻Cyanidioschyzon merolaeおよびタバコ培養細胞BY-2においてNDRがODRによって制御されていること、そしてオルガネラから核へDNA複製の開始を伝えるシグナルとしてテトラピロールの一種であるMg-ProtoIXが働いていることを明らかにした。NDRはMg-ProtoIXの蓄積によってCDKAが活性化される事によって行われる1。しかし、Mg-ProtoIXによるCDKAの活性化がどのような分子機構によって行われているかは不明であった。今回我々はCDKAの活性化はCyclin Eのプロテアソームによる分解がMg-ProtoIXによって阻害されるために起こる事を明らかにしたので報告する。さらに、我々はMg-ProtoIX受容体の同定を進めておりMg-ProtoIXによるCyclin Eの分解阻害機構のモデルを提示する予定である。
1 Kobayashi, Y. et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 106, 803-7 (2009).
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© 2010 日本植物生理学会
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