日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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葉緑体プロテオームを基盤とした逆遺伝学的解析および質量分析による葉緑体核様体タンパク質の同定
*壁谷 如洋鈴木 健二宮城島 進也
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p. 0572

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抄録
葉緑体DNAは、葉緑体内で多くのタンパク質とともに核様体と呼ばれる複合体を形成している。成熟した葉緑体内では、核様体は数十の顆粒状として観察されるが、葉緑体の発達過程や分裂時にその形態は大きく変化することが知られている。葉緑体分裂時における核様体の形態変化は、葉緑体DNAの分配と関係があると推測されるが、核様体の形態変化のメカニズムや関連因子の知見はない。核様体の形態変化の理解のためには、まず核様体を形作る因子の理解が重要であるが、ほとんど分かっていないというのが現状である。そこで、本研究では核様体の形態変化の研究の基盤を整えるために、核様体を形作る因子の同定を行った。(1)紅色植物と緑色植物に共通して存在する葉緑体プロテオームを推定し、それらをコードする遺伝子破壊株の中から、核様体の形態が異常になった変異体を探索することで核様体タンパク質の同定を試みた。(2)単離したシロイヌナズナ葉緑体から調製した核様体を、核様体の形態が保持出来なくなる2M NaClを含んだ溶液で処理した。この2M NaCl処理で核様体から遊離したタンパク質が核様体を形作る因子の候補と考え、核様体から遊離したタンパク質をLC/MS/MSで同定した。それぞれの実験で同定されたタンパク質に関して、DNA結合能や凝集能、葉緑体内局在などを調べているので、合わせて報告する。
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© 2010 日本植物生理学会
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