日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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エチレンによるアズキ上胚軸の表層微小管の配向変化とγ-チューブリン複合体およびカタニンの発現増加
*曽我 康一山口 彩小竹 敬久若林 和幸保尊 隆享
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p. 0584

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抄録
エチレンによる細胞成長方向の変化(伸長成長阻害と肥大成長促進)のメカニズムを明らかにするために、暗所で生育させたアズキ芽生えをエチレンの前駆体である1-アミノシクロプロパン-1-カルボン酸(ACC)で処理し、上胚軸の表層微小管の配向とγ-チューブリン複合体およびカタニン遺伝子の発現を解析した。ACCの濃度が増加するにつれて、上胚軸の伸長成長が阻害され、肥大成長が促進された。また、ACCにより細胞長軸に直交する微小管(横向きの微小管)を持つ細胞の割合は減少し、一方、細胞長軸と平行な微小管(縦向きの微小管)を持つ細胞が増加した。次に、微小管の形成に関与すると考えられているγ-チューブリン複合体(VaTUGVaGCP3)の遺伝子発現を解析したところ、両遺伝子の発現は一過的に増加した。また、微小管の切断に関与すると考えられているカタニン(VaKTN1)の発現も一過的に増加した。以上の結果から、エチレンによるアズキ上胚軸の成長方向の変化は、表層微小管の配向が横向きから縦向きに変化することによって引き起こされることが示された。また、この表層微小管の配向変化には、γ-チューブリン複合体およびカタニンの一過的なレベル増加を介した微小管の形成と切断が関与していると考えられる。
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© 2010 日本植物生理学会
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