日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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陸上植物の細胞を用いた後期紡錘体微小管の動態解析
*林 朋美米田 新馳澤 盛一郎
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p. 0585

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抄録
細胞周期のM期に入ると紡錘体が形成され、S期に複製されたDNAを二等分する。染色体が空間的に二分されるのはM期後期であり、この時期の染色体移動は動原体微小管の短縮(後期A)と紡錘体伸長(後期B)の2つのメカニズムから生じる。陸上植物の細胞においては、中心体が見られないことから、明視野観察や蛍光観察では後期Bの過程が不明確であった。また分裂頻度の高い細胞における後期Bの存在は不明であった。我々はこれまでに、タバコ培養細胞BY-2を用いて紡錘体長の測定法を確立し、BY-2細胞における後期紡錘体微小管の挙動について明らかにしてきた。本発表では微小管を可視化したシロイヌナズナ、ヒメツリガネゴケにおける後期紡錘体微小管の動態を解析し、BY-2細胞と比較した結果を報告する。後期紡錘体長の推移を測定した結果、シロイヌナズナ根端細胞とヒメツリガネゴケ原糸体のどちらでも後期紡錘体の伸長がみられた。この結果から、後期Bの存在が明らかとなった。そこでBY-2細胞及びシロイヌナズナ根端細胞、ヒメツリガネゴケ原糸体において算出した後期紡錘体の伸長率を比較した。BY-2細胞及びシロイヌナズナ根端細胞、ヒメツリガネゴケ原糸体における伸長率は、1.2~1.3と近い値を示した。以上の結果から、陸上植物の細胞における紡錘体伸長の役割について考察したい。
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© 2010 日本植物生理学会
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