日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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イネ培養細胞の感染防御応答に伴うCa2+チャネル候補因子OsTPC1の機能解析
*濱田 晴康清塚 正弘来須 孝光能鹿島 央司岡田 憲典古賀 仁一郎山根 久和朽津 和幸
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p. 0703

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抄録
植物の広範なシグナル伝達系において、各刺激に特有な細胞質Ca2+濃度変化 ([Ca2+]cyt) の時空間パターンが重要な役割を果たすと考えられているが、Ca2+動員を担うCa2+チャネルの実体は未解明な点が多い。イネの電位依存性Ca2+チャネル候補OsTPC1は、糸状菌由来のタンパク質性エリシター (TvX) により誘導されるイネ培養細胞の感染防御応答の制御に重要な役割を果たす(Kurusu et al. Plant J. 2005) 。本研究では、感染防御応答初期に誘導されるCa2+動員にOsTPC1が関与する可能性を検証するため、野生型株やOsTPC1機能破壊株培養細胞の[Ca2+]cyt測定系を構築し、TvX等種々のエリシターにより誘導される[Ca2+]cyt変化を解析した。さらに、感染防御応答におけるOsTPC1の機能の網羅的解析を目指して、TvX応答性遺伝子のトランスクリプトーム解析を行い、OsTPC1機能破壊の影響を解析した。その結果、OsTPC1がTvXにより誘導されるCa2+動員の制御や、モミラクトン類等のジテルペン型ファイトアレキシン生合成遺伝子群を含む防御関連遺伝子の発現誘導に関与する可能性が示唆された。これらの結果に基づき、感染防御応答におけるOsTPC1の機能について議論する。
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© 2010 日本植物生理学会
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