日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
会議情報

シロイヌナズナ環境型のアンモニウム栄養に対する応答
大岩 優貴佐々木 和浩吉田 圭吾松岡 香矢早川 俊彦佐藤 雅志山谷 知行*小島 創一
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0772

詳細
抄録
植物が利用できる土壌中の窒素栄養の主要な分子形態は、硝酸やアンモニウムといった無機態イオンである。アンモニウムを単一の窒素源として植物へ与えると、多くの植物の生育は阻害される。しかし、アンモニウムと硝酸を同時に植物へ与えると、植物はアンモニウムを優先的に吸収する。また、水田などの還元的な農地や、よく成熟した森林の土壌で成育する植物にとって、アンモニウム態窒素が主要な窒素源である。アンモニウム態窒素栄養は、硝酸態窒素栄養と比較して、硝酸還元分のエネルギーを節約できるという点で、より効率よく利用できる窒素栄養である。
我々は、植物がアンモニウム態窒素栄養をより効率よく利用できる機構を明らかにするために、様々なシロイヌナズナ環境型群について、アンモニウムを主要な窒素源とする培地で栽培し、根の形態と地上部の新鮮重量を比較した。その結果、アンモニウム態窒素で地上部の生育が阻害される環境型と、アンモニウム態窒素が主要な培地であっても地上部の生育が阻害されない環境型があることを見出した。アンモニウム態窒素で地上部の生育が阻害される環境型は、アンモニウム態窒素による側根の形成が少なく、主根の伸長が著しい傾向を有することが判明した。これら二つの環境型間の違いについて、分子遺伝学的な解析を試みた。
著者関連情報
© 2010 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top