日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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イネLD型細胞質雄性不稔性に対する稔性回復遺伝子はグリシンリッチタンパク質をコードする
*板橋 悦子岩田 夏子藤井 壮太風間 智彦鳥山 欽哉
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p. 0778

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抄録
細胞質雄性不稔性(Cytoplasmic male sterility:CMS)はミトコンドリア遺伝子の変異により引き起こされる雄性不稔性であり、母性遺伝する。また、核ゲノムにコードされる稔性回復遺伝子(Rertility of restorer:Rf)の作用により稔性が回復する。イネLD型CMSはビルマ稲「Lead Rice」の細胞質由来するCMSであるが、Rf遺伝子はクローニングされていない。交配実験の結果、LD型CMSはインディカ品種「Kasalath」由来の単一遺伝子Rfkが配偶型に作用する事で稔性回復する事が分かった。Rfkに対するマップベースクローニングを行った結果、Rfkは152アミノ酸から成るglycine-rich proteinをコードする事が明らかになった。組織別発現解析の結果、Rfkは2細胞期葯、成熟葯において強く発現していた。細胞内局在調査の結果、Rfkはミトコンドリアに局在するタンパク質である事が分かった。また、Rfkの78番目のIleがrfkではThrに置換しており、この1アミノ酸の置換が機能欠失の原因である可能性が示唆された。
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© 2010 日本植物生理学会
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