日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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NbPAPはNicotiana植物の病害感受性遺伝子である
*中野 真人大西 浩平曵地 康史木場 章範
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p. 0960

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抄録
植物の病原菌に対する受容性誘導、あるいは発病機構を解明するために、Ralstonia solanacearumの病原性株RsOE1-1の接種により、Nicotiana植物で特異的に発現する遺伝子NbPAPNicotiana benthamiana phosphatidic acid phosphatase)を同定した。RsOE1-1を接種したNbPAPサイレンシング植物では、コントロール植物と比較してジャスモン酸(JA)経路のマーカー遺伝子PR-4の発現量の増加、および活性酸素種(ROS)の蓄積による細胞死の誘導が認められ、植物におけるRsOE1-1の増殖とRsOE1-1による萎凋症状の進展が抑制された。NbPAPサイレンシングによるRsOE1-1の増殖と発病の抑制は、JA情報伝達因子COI1、あるいはROSの生成に関わるRbohBとの二重サイレンシングにより、部分的に緩和された。一方、NbPAPをサイレンシングしたサリチル酸を蓄積できないNahG植物では影響されなかった。また、NbPAPサイレンシングによってタバコ野火病とタバコ黄がさ細菌病の発病も抑制された。
以上の結果から、NbPAPは抵抗性誘導に関与するJA-、ROS-シグナル伝達の負の制御因子であり、NbPAPは植物病原細菌に対するNicotiana植物の感受性遺伝子であることが示唆された。
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© 2010 日本植物生理学会
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