日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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植物パターン形成の数理モデル解析:葉脈と茎頂分裂組織
*藤田 浩徳望月 敦史川口 正代司
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p. S0049

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抄録
生物におけるパターン形成は通常、遺伝子やタンパク質などの分子的因子間の相互作用およびそれらの空間的な拡散により引き起こされる。近年分子レベルでの知見が多く蓄積されてきており、それに基づいた数理モデル解析も増えてきている。本講演では、植物におけるパターン形成の数理モデル解析の例として、葉脈と茎頂分裂組織(SAM)について紹介する。
植物の葉脈パターンは非常に多様性に富んでおり、例えば羽状パターン、分岐パターン、放射パターン、平行脈パターンなどが知られている。維管束形成には植物ホルモンauxinとその輸送体PIN1との相互制御が重要であると考えられている。そこでauxin-PIN1ダイナミクスの数理モデルの構築・解析を行うことにより、葉脈パターンの再現およびその多様性の理解を試みた。
一方、SAMは活発に細胞分裂しているにも関わらず、通常ほぼ一定の大きさを保ち続ける。シロイヌナズナclv変異体ではSAMが巨大化し、しばしば茎の帯化や二叉分岐が見られる。一方wus変異体ではSAMの活性が低下するものの、長期間の培養により異所的なシュートが多数形成されてくる。SAMの形成・維持に関してはWUSとCLVの相互制御が重要である事が知られている。そこでWUS-CLVダイナミクスを取り込んだモデルを構築・解析することにより、野生型や変異体のSAMパターニングの再現および理解を試みた。
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© 2010 日本植物生理学会
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