写真測量とリモートセンシング
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識別領域による合成写真の地表パターン調査の基礎研究
星 仰
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1975 年 14 巻 3 号 p. 19-27

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抄録

リモートセンシングの研究が急速に進展したのはソ連が人工衛星の打上げに成功し, ソ連・米国の宇宙開発が繁んになってきたことに起因していると思われる。リモートセンシングは周知の通り間接的にしかも高度の技術を用いて遠隔の情報を感知し分析する調査方法の一種であって, 従来の航空写真による手法と多少異なる点がある。その第一は電磁波を捕える方法が基本的に異なって来たこと。第二はこれに共なって情報の処理システムが改新されたことであろう。すなわち, ハード的にはスキャナの登場と得られた情報の電子計算機処理化への適用性への配慮であろう。これらのことからリモートセンシングシステムを用いた分析は従来の航空写真分析より利用面が拡張され, 高高度からマクロ調査が実施されて数多くの成果を世に示した。しかし, 地表のかなリミクロなパターンの調査となると必ずしもリモートセンシング技術の必要性もなく, 分析しきれない調査項目も多々あるのが現状である。そこで本研究はマルチスペクトル・スキャナによる地表調査を基にして地表パターンのマクロ的分類を領域法を用いて行なった。分類はカラ合成写真を肉眼で識別した色調によるもので, 色調のシンボル化された数値の処理はミニコンビュータで演算した。
この方法はマルチスペクトルスキャナ (以後MSSと記す) の各チャンネル情報を直接解析する方法よりも精度的に劣ることは明らかであるが, カラ合成写真の一面ではあるが利用限界を明らかにでき, この研究成果から抽出率の持つ意味と地域差による抽出率変動の目安を探ることができた。

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© 社団法人 日本写真測量学会
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