写真測量とリモートセンシング
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ランドサットおよび国土数値情報標高データを用いた広域蒸発散量の算定
内田 諭星 仰
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1987 年 26 巻 4 号 p. 13-23

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抄録

広域の蒸発散量を算定するために, 改良ペンマン法を採用したランドサットと標高データを用いたシステムを開発した。対象地域を抽出し幾何補正を行った後に, ランドサットMSSデータから土地被覆が分類され, 土地利用項目に対応付けられる。そして各項目より, 蒸発散の計算に用いられる経験的パラメータが与えられる。標高の原データは7.5″×11.25″で与えられているが, それを内挿して土地被覆画像データの各画素に位置合わせを行っている。これは各画素当たりの全短波放射量を求めるために用いられる。蒸発散量の計算は, 数地点の観測値から高度の1次式に回帰した気象要素を用いた経験式によって実行される。計算結果は統計量を算出するだけではなく, 画像に変換した形としても出力される。推定した蒸発散量の月変化を見ると, その上下の変化は気象条件と矛盾してはいない。また画像データに表されているように, 山地部における分布には地形条件による影響が適切に示されている。結局, 本システムで数100km2程度の広域の実蒸発散量が信頼度を持って推定できたと言えよう。本システムはまた, 流域の水管理に関しても有益な情報を与えることが期待できる。

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© 社団法人 日本写真測量学会
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