日本惑星科学会秋季講演会予稿集
日本惑星科学会2003年秋季講演会予稿集
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オーラルセッション2 10/8(水)10:45~12:00
彗星内シリケイトダストの結晶化:原始太陽系星雲内の衝撃波による加熱結晶化
*中本 泰史三浦 均
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p. 8

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抄録

彗星に含まれているシリケイトダストには,アモルファスと結晶化しているものの2種類あることが知られている.一方,彗星物質の起源物質と思われる星間ダストには結晶化しているものはない.したがって,ある段階でダストが結晶化することが予想されるが,その結晶化機構はまだわかっていない.本研究において私たちは,ダストの結晶化機構として原始太陽系星雲中での衝撃波加熱機構を考えた.ここでは,ダストが彗星に取り込まれる前に,原始太陽系星雲内で加熱を受けて結晶化するという状況を考えている.そして,原始太陽系星雲中に存在するアモルファスシリケイトダストを結晶化するのに適当な衝撃波の条件を詳しく調べて明らかにした.その結果,原始太陽系星雲内に存在し得る衝撃波の条件で,シリケイトダストが結晶化されることがわかった.さらには,最小質量原始太陽系星雲モデル(京都モデル)の場合,およそ20AUよりも外の領域では適当な衝撃波は存在せず,ダストは結晶化されないことがわかった.このことは,短周期彗星には結晶化ダストが存在せず,長周期彗星にのみ結晶化ダストが存在し得るということを示唆する.実際これまでのところ,短周期彗星には結晶化ダストが検出されていないが,私たちのモデルは,この観測事実と整合的である.

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© 2003 日本惑星科学会
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