主催: (一社)日本予防理学療法学会、(一社)日本理学療法学会連合, 第58回 日本理学療法学術大会
共催: 第6回 日本産業理学療法研究会学術大会
会議名: 第10回 日本予防理学療法学会学術大会
回次: 1
開催地: 函館市民会館・函館アリーナ(函館市)
開催日: 2023/10/28 - 2023/10/29
【はじめに、目的】
我々は、2022年に中学生の運動器障害 (特に膝関節)について調査した。その後、2023年に追跡調査を行い、Non-AKP群からAKP群に変化した生徒が存在した。本研究の目的は中学生を対象に、Non-AKP群の5か月後の身体特性の変化と膝前部痛発症者の特徴を明らかにすることとした。
【方法】
本研究の対象は某中学校に在籍する1・2年生215名 (男子113名、女子102名)であった。測定項目は、身体計測 (身 長、体重)、質問紙によるアンケート調査 (痛みの継続の有無、痛みの部位、痛みに関する質問、医療機関への受診の有無)、 大腿四頭筋の柔軟性とした。さらに体格の指標として、身長と体重に加え、Body Mass Index (BMI)を算出した。また、2022年から2023年の身長・体重の変化をそれぞれ身長変化量、体重変化量 (cm/月)として算出した。柔軟性の測定は、開始肢位を腹臥位・膝関節90度屈曲位とし、140度屈曲位まで他動運動を実施後、徒手筋力計 (ミュータスF-100、アニマ社製)を下腿遠位部前面に当て、その値を左右脚1回ずつ測定した。統計解析は各群のデータの正規性を確認するためShapiro-Wilk検定を行った。アンケート調査からAKP群とNon-AKP群の2群に分け、体格と抵抗量について、正規分布に従う場合2標本t検定を、正規分布に従わない場合Mann-WhitneyのU検定を行った。有意水準は5%とした。
【結果】
対象者215名のうち、欠席やアンケートの記入漏れ・ 未実施測定項目があったものを除外し、2022年にNon-AKP群 であった97名を解析対象とした。そのうち、AKP群は9名 (男子4名、女子5名:身長160.8±8.4cm、体重52.9±9.4kg)・ Non-AKP群は88名 (男子48名、女子40名:身長158.7±8.1cm、体重50.1±10.5kg)であった。体格について、身長、体重、身長・体重変化量、BMIは2群間に有意な差を認めなかった。さらに、抵抗量について右下肢、左下肢、左右差についても2群間で有意な差を認めなかった。
【考察】
結果より、抵抗量・左右差はAKP群で大きい傾向が見られた。AKP群を詳細に見ると、抵抗量について2022年では患側が大きい生徒が多かったのに対し、2023年では健側の抵抗量が大きくなっている生徒が多かった。これまでOSDやジャンパー膝などを含むAKPと柔軟性の関係が指摘されてきたが、一定の関係性はみられなく、これらの関係性について再考の必要性があることが示唆された。
【倫理的配慮】
本研究は東北文化学園大学研究倫理審査委員会の承認を得て実施した (文大倫理第19-07-1号)。