主催: 日本臨床薬理学会
会議名: 第43回日本臨床薬理学会学術総会
回次: 43
開催地: 横浜
開催日: 2022/11/30 - 2022/12/03
近年、創薬における時間的・経済的課題や環境問題に対する網羅的な毒性評価の必要性、さらに動物実験倫理の観点から、薬物や一般化学物質に対する様々な生理活性や機能を分子構造に基づいて推定する試みが注目されている。特に、機序の解明が不十分であるために関与するタンパク質情報の入手が困難な生理作用の予測には低分子化合物側の情報を活用するケモインフォマティクス技術の有用性が知られている。
化学構造は、分子量や分子サイズ、脂溶性、静電的特徴、分子形状、官能基数等の多様な数値情報(化学構造記述子)に変換できる。ある生理活性を発現する化合物群の記述子が特徴的なパターンを示せば、化学構造に基づいてその活性を統計的に識別できることになる。一方、毒性や副作用は、化学構造から得られる多彩な数値情報との関係が複雑かつ非線形であるために解析が困難な場合が多い。
そこで、演者らの研究グループでは化学構造と毒性等の関係を機械学習によってモデル化することにより高精度な生理活性の予測を達成してきた。さらに、核内受容体およびストレス応答パスウェイのアゴニスト・アンタゴニスト活性を機械学習モデルに統合することによって、種々毒性の誘発に関連する生化学的経路の特定を試みてきた。
本講演では毒性予測事例に焦点を当て、人工知能技術を使用した最新の知見について紹介したい。