日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第44回日本臨床薬理学会学術総会
セッションID: 44_1-C-S07-3
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シンポジウム
動脈硬化に対する高尿酸血症治療の有用性
*丸橋 達也東 幸仁
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抄録

血清尿酸値は、高血圧や慢性腎臓病、メタボリック症候群などが存在することにより上昇する。したがって、血清尿酸値は、心血管疾患発症の有用なリスクマーカーと考えられている。一方で、高尿酸血症自体が心血管疾患発症の独立した危険因子かどうかについては、まだ一定の見解が得らえていない。基礎研究により、高尿酸血症が血管障害・動脈硬化を惹起するいくつかの機序が想定されている。一つは、キサンチン酸化還元酵素が触媒する反応により尿酸と同時に、活性酸素が生成されることで血管が障害される機序である。もう一つは、尿酸トランスポーターを介して、血管内皮細胞や血管平滑筋細胞に尿酸が取り込まれ、血管障害が惹起される機序である。したがって、キサンチン酸化還元酵素阻害薬や尿酸トランスポータ-阻害薬による高尿酸血症治療は、血清尿酸値を下げるだけでなく、動脈硬化を抑制して心血管疾患発症を抑制する可能性がある。本講演では、尿酸降下薬による最近の介入試験を紹介しながら、高尿酸血症治療の動脈硬化に対する効果について概説させていただく。

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