社会学評論
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進学率と世代間移動の数理モデル
浜田 宏
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2008 年 58 巻 4 号 p. 608-624

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抄録

本稿の目的は,大学進学率と世代間移動の単純ではない関係を,数理モデルを定式化することで明瞭に説明することである.特定の数値に依存しない一般的な命題を導くために,モデルは2次元(学歴と出身階層)2ランク(高と低)の社会からなり,学歴が高い者が優先的に上層に参入できるという単純な仮定を採用する.より厳密には2つの選抜形式をモデル化して分析する.1つは辞書体式順序によって出身階層の影響も考慮する場合と,もう1つは完全に学歴のみを選抜基準とする場合である.前者の仮定を用いたモデルを辞書体式順序モデル,後者の仮定を用いたモデルを学歴主義モデルと呼ぶ.2つのモデルを比較分析することで,教育機会の拡大が世代間上昇移動の閉鎖化を生み出すというパラドキシカルな現象がどのような条件のもとで発生するのかを特定する.またモデルは教育機会の均等化と世代間上昇移動の関係も明らかにする.さらにモデルから理論的な命題を導出するだけではなく,モデルが現実のデータにどの程度フィットしているのかを全国調査データを用いて検証する.

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© 2008 日本社会学会
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