社会学評論
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M・ヴェーバーにおける理解社会学と解釈学-序説-
庁 茂
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1979 年 29 巻 4 号 p. 2-15

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抄録

ヴェーバーの学問観は、周知のようにいわゆる「理解社会学」として結実した。この方法論的な立場は、認識と人格という二つの視角からの議論が互いに基礎づけあいながら交わる点に成立しており、そのことが、彼の学問観の最も積極的な特色となっている。
ところが、この二つの方向からの議論にはそれぞれ不明瞭な問題点が潜んでいて、そのために、ヴェーバーにおいて両者の視角が一体どのように連結するのか、わからなくなっている。
第一は、彼がいわゆる動機理解以外の理解概念を導入していることに由来している。すなわち、彼のいう「理解」概念が多義的であるという問題である。第二は、彼のいう「人格」が、いわゆる「決断主義的な」人間に帰着するものなのか、それとも、あくまで現実に対し自己を開きながら責任をもって決断する人間なのか、ということである。すなわち、彼のいう「人格」概念の矛盾という問題である。
ヴェーバーのいう「理解社会学的」立場は、この二つの問題点が首尾一貫しれ解明されない限り、認識と人格という二つの視角が、どう交わりあうのか十分納得できないと思われる。
私は、この解明を通じて、彼が学問論のなかに独自にもちこんだ解釈学的理解の要としての基本的意義を、鮮明にしておきたいと思う。

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