社会学評論
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情報環境と現代青年文化
川崎 賢一
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1983 年 34 巻 3 号 p. 270-289

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抄録

本稿の目的は、情報環境が高度化した生活空間における人間の行動的そして価値意識的特色の輪郭を、現代青年文化にみられる具体的現象を通じて、明らかにすることである。
本稿は、四つの節から構成されている。第一節では、過去の青年像・青年文化と現在の青年像・青年文化とを比較し、共通点と差異点が整理される。
第二節では、整理された現代青年の特色を分析するための一般的類型が提出される。その類型は、人間と情報処理機械ならびにその機械の産出する情報 (体系) との関係に関するもので、主体-モデル的客体の四類型と名付けたい。さらに、この四類型の基本的特色も、あわせて、この節で論じられる。
第三節・第四節においては、情報環境が人間に与える影響・作用について論じられる。第三節では、現代の青年層に顕著にみられる特色について考察される。その特色は、 (1) 高度な情報環境に適応的なパーソナリティについて、 (2) 青年層の行動的・価値意識的特色について、それぞれ、 (1) 操作的パーソナリティ、 (2) 指向の四類型、という仮説ないし類型をたてることにより説明される。
第四節では、青年層だけでなく、他の年齢層も共有する点について論じられる。その内容は、 (1) 情報環境が対人的コミュニケーションに与える影響と、 (2) 情報環境における基本的問題、とについてである。

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