社会学評論
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参加型地域システムの形成条件
野口 裕二
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1984 年 34 巻 4 号 p. 402-420

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抄録

地域システムを円滑に作動させるための主要な装置として<参加>に期待が寄せられている。同時に、ある地域システムの<参加型>への変容可能性の測定という課題が検討をせまられている。
これまで、<参加>の具体化と活性化を試みる事例に取材した諸研究は、<参加>と親和的な意識類型や人間像について多くの報告を重ねてきた。しかし、それらの多くは両者の相関関係に言及するのみで<参加>メカニズムの因果的把握にいたっておらず、したがって、それらは<参加型地域システム>の形成可能性の測定という課題には必ずしも対応していない。
こうした課題に応えるためには、まず第一に参加主体の視点にもとついて<参加>メカニズムに関するモデル構成をはかることから出発する必要がある。その際に、<参加>を地域問題処理のための可能な選択肢のひとつと措定し、対立する選択肢との緊張関係のなかで参加主体が最終的な選択に至るまでの過程をモデル化し、さらに、その過程の各段階ごとに属性変数の影響力を因果的に把握してゆくことが不可欠の前提作業となる。
調査データによれば、居住年数、年齢、地域特性等の諸変数と、自助・互助・公助の三分類の問題処理方法との関連が確認され、これらの属性変数の影響のしかたが選択過程の段階ごとに異なることが示唆されている。

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