社会学評論
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批判としての社会的行為論
-ハーバマースのコミュニケーション行為論についての考察-
森 元孝
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1984 年 35 巻 3 号 p. 333-348,382

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抄録

ユルゲン・ハーバマースはコミュニケーション行為 (kommunikatives Handeln) という考えを二〇年近く主張してきた。本稿は、このコミュニケーション行為論にかんする若干の考察である。ハーバマースの最大の関心は、近代科学と人間行為との関係を考察することにある。したがってコミュニケーション行為論は、社会的行為論でありかつ科学論でもある。
以下の論稿において、ハーバマースがこれまで展開してきた科学論上の研究を、パーソンズのシステム論的行為論を分析するために適用する。ハーバマースは真理の合意説 (Konsensustheorie der Wahrheit) と呼ぶ立場から社会的行為論を考察している。その結果、ディスクルス論 (Logik des Diskurses) と呼ぶ対話論理学を社会的行為論の理論的支柱に据えることになった。この試みを踏まえて、パーソンズの社会的行為論を問題にする。そうすることにより、ハーバマースのコミュニヶーション行為論がもつ固有性を見出し、批判理論としての働きをとらえることができる。

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