社会学評論
Online ISSN : 1884-2755
Print ISSN : 0021-5414
ISSN-L : 0021-5414
“予言の自己成就” と合理性
ブール代数分析による思考実験
鹿又 伸夫
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 47 巻 2 号 p. 156-170

詳細
抄録

予言の自己成就は, 行為者の誤った状況規定がもたらす現象と考えられてきた。しかし, 弱い合理性 (主観的合理性) によって説明可能だとする指摘もある。そこで, 弱い合理性を含む4変数をもちいてブール代数分析による思考実験をおこない, 行為レベルにおける因果メカニズムを演繹的に検討した。その結果, 予言の自己成就現象は, 誤った状況規定をもちいずに, 弱い合理性と情報の受容によって説明可能であった。またマートンの説明を修正することで予言の自己成就を, 行為者の利害を脅かす内容の予測情報に接触するという特定条件下での社会的ジレンマとして一貫して描けた。

著者関連情報
© 日本社会学会
次の記事
feedback
Top