社会学評論
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W. ジェームズの純粋経験の概念について
ステレオタイプと個別性
藤谷 忠昭
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1999 年 50 巻 1 号 p. 75-90

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抄録

本稿ではW.ジェームズの純粋経験の概念の社会学的意義を, ステレオタイプとの関連で検討する。ミードやシュッツなど, 従来, 社会学者によってジェームズの着想が援用されてきた。だが, 純粋経験という概念の意義が, 社会学において, 十分に検討されてきたとはいいがたい。ひとつの理由には, それが意味以前の「現実」を表す概念であるゆえに, 「社会」的分析の有用性を明らかにすることが困難であるということが考えられる。だが, ジェームズの経験論の理論的核心は, 意味以前の「現実」への注目にこそ存在する。そこで本稿では, 純粋経験の概念の社会学的意義を改めて問うことにしたい。そのため, まず純粋経験の存在の理論的な可能性を明らかにする。次に, ステレオタイプの考察をひとつの例として, その理論的な応用可能性を考える。その上で, 純粋経験の概念の社会学的意義を示したい。

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