社会学評論
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カタルシスと知的創造のインタビュー
方法論的考察
圓田 浩二
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2001 年 52 巻 1 号 p. 102-117

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抄録

従来, 社会調査において, 調査者は価値判断や感情に左右されず中立の立場から, インフォーマントに対して客観的に振る舞うことを要請されてきた.しかしインタビューを行う事例研究においては, 調査者がインフォーマントとの濃密なコミュニケーションを前提としているために, 調査者がインフォーマントに対して, 客観的に振る舞う, あるいは中立の立場を維持することに困難が生じると考えられる.本稿においては, 筆者のフィールドワークにおける事例研究をもとに, これまでの社会調査研究に新しい論点を投げかけている.
その論点は3つある.第1点は, 調査関係においてインフォーマントとの濃密なコミュニケーションが, 時として, インフォーマントにおけるカタルシスの表出を伴うという問題である.第2点は, 調査者がインフォーマントから一方的に知 (情報) を受け取るだけではなく, インフォーマントは調査者とのインタビューというコミュニケーションを通じて, 新しい知識やパースペクティヴを創造・獲得していくという問題である.最後に, 第1点, 第2点を受けて, ライフヒストリー研究やインタビュー調査には従来論じられてきた表現と解釈という側面だけでなく, 新たに表出の側面を加えることができるという考察を展開している.

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