社会学評論
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育児ネットワークの構造と母親のWell-Being
松田 茂樹
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2001 年 52 巻 1 号 p. 33-49

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抄録

本稿では育児ネットワークの構造が母親の心理面のwell-beingに与える影響に関する実証分析を行った.育児ネットワークとは, 父親, 親族, 近隣, 子育て仲間など世帯内外で育児に関わっている人々の関係の仕方のことであり, その構造はネットワーク分析の方法を用いて「規模」「構成 (親族割合) 」「密度」の指標で捉えた.また, 母親のwell-beingに関わる変数としては育児不安度と生活満足度を用いた.乳幼児をもつ母親へのアンケート調査のデータを使用して, 被説明変数に母親の育児不安度または生活満足度を, 説明変数に育児ネットワークの構造を投入した重回帰分析を実施した結果, 父親の育児参加が多く, 世帯外の育児ネットワークの規模が大きく, 親族割合と密度が中程度であるときに, 育児不安度が低く, 生活満足度が高いことが明らかになった.このことは母親のwell-beingの向上のためには, 父親も育児に関わることと, 親族と非親族とが適度に混合したネットワークの中で育児を行う体制をつくることが必要であることを示唆する.ただし密度の影響を考慮すると, そのネットワークは過度に密度が高い, すなわち地域全体で育児をしてきた一枚岩のネットワークではなく, ある程度ルースなネットワークであることが望ましいと考えられる.

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