社会学評論
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組織戦略を社会学的見地から検討する
認知的・道具的合理性から理解可能性へ
竹中 克久
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2006 年 56 巻 4 号 p. 780-796

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抄録

本稿では, 組織戦略という概念に焦点をあて, 社会学的な見地からアプローチを試みる.組織戦略概念は組織を軍隊に喩えることから提起された概念であり, 市場という環境のなかで組織がほかの組織と合理的に争う側面を分析するために提起されたものである.ただ, 戦略概念の登場とその発展とともに, それを専門とするディシプリンとして戦略論という学問分野が独立したため, 組織戦略について論じつつも, 組織が主題となることは少ない.また, この概念は組織の経済的な競争という側面を重視するものであるために, 自ずと経済学や経営学からのアプローチが支配的であり, 社会学からのアプローチはほぼ皆無であるといっても過言ではない.ところが, 今日の社会状況に鑑みれば, むしろ社会学的な見地から, この組織戦略概念を再考することの意義ならびに社会からの要請があるように思われる.
そこで本稿では, 戦略概念に代替可能な概念を模索する.その1つは企業倫理であり, もう1つはアカウンタビリティである.とりわけ本稿では後者を支持し, その概念の有効性を合理性ではなく<理解可能性>という基準で立証することを試みる.その際に参考となるのが, 近年着目されている組織アイデンティティや表出的組織という概念である.
このような視座に立つことで, 現代組織にとっての新たなレゾン・デートルを提起できるとかんがえられる.

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