社会学評論
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比較近代化論とグローカル化論
理論形成論へのエスキス
油井 清光
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2006 年 57 巻 1 号 p. 125-142

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抄録

本稿は, 「理論形成はいかにして可能か」という主題を, 比較近代化論とグローカル化論との節合という「事例」から考える試みである.
比較近代化論とその原理論であった機能主義とは, 舩橋 (1982) や高坂 (1998) らによる理論分類から捉えることが可能である.しかし, それらはすでに或る種の「解体」 (佐藤1998) を経験しているという.社会学理論は, 原理論のレヴェルで多元化していると言われて久しいが, それ.は社会学理論にある程度内在的な性質でもある.そのなかで事実として次々に新しく魅力的な「嚮導的発想」 (グローバル化論, リスク社会論など) が追究されている.本稿は, こうした「嚮導的な発想」と, 各自のそれまでの研究蓄積との節合による理論形成という可能性について考える.その道筋を, 比較近代化論とグローカル化論との節合の試みという実際のエスキスをとおして, 探る. (1) いずれの原理論に立脚するにせよ, らせん的進展をともなう「理論と経験との往復運動」を前提とすることがのぞましい (グローカル化論にとっては, 比較近代化論というヨリ経験的研究に根ざした「中範囲の理論」との節合が有意義となる), (2) 節合の過程で双方の内的相互変容をともなう (比較近代化論とグローカル化論双方の再構成), (3) この節合は, 理論伝統の組み換えをうながすことがある (「テーマ」としての, 市民権を超えた人権), といった諸主題があつかわれる.

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