2021 年 38 巻 2 号 p. 169-173
呼吸管理をするうえで、肺胞の内側と外側の圧較差である経肺圧が、肺の過膨張の指標として注目されている。経肺圧測定の重要性が高まっているにもかかわらず、経肺圧を測定できる人工呼吸器は十分に普及していない。しかし、ほとんどの人工呼吸器にはグラフィックモニタが搭載されている。今回、プレッシャーサポート換気時の経肺圧に影響を及ぼす食道内圧とその際の流量波形に着目し、その関連性を検討した。食道内圧を測定した10症例でΔ食道内圧(ΔPes)を高い群と低い群に分け、流量波形を分析したところ、ΔPesが大きい患者では、吸気時間に占める食道内圧が最大振幅になるまでの時間が長く、吸気流量波形における減衰速度が遅い傾向にあった。食道内圧の測定が容易にできない施設では、流量波形を観察することで食道内圧(胸腔内圧)の状態を推測できる可能性があり、人工呼吸管理の一助になると考える。