2014 年 24 巻 1 号 p. 46-50
高齢者の肺炎の多くを占めるNHCAPは難治性であり繰り返すことから,治療と併せて予防が重要である.歯科は,入院前や退院後の患者を長期的にフォローできることから,NHCAPの予防に大きく寄与できる医療資源であると考える.嚥下障害患者のなかには,多少誤嚥をしながらも肺炎を発症せずに経過している患者が存在し,そこに感染が生じてはじめて細菌性肺炎にいたる.それゆえ肺炎発症後の患者の診察では,その病態が食物誤嚥や胃食道逆流による化学性肺炎だったのか,細菌性肺炎だったのかを考え,原因に応じた対応をすることが再発予防のために重要と考える.嚥下リハや嚥下機能評価を行うことで,化学性肺炎(細菌性も混在)を予防したり,口腔ケアを行うことで唾液誤嚥による細菌性肺炎のリスク軽減に努める.歯科医として口腔機能や嚥下機能,栄養状態や全身状態の変化を評価しながら高齢者の食を支えることがNHCAPの予防につながると考える.