日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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教育講演XII
わかりやすい胸部画像診断
――胸部X線をどう見るか――
久保 武
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2015 年 25 巻 2 号 p. 180-185

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抄録

胸部X線写真は肺病変の評価に必須の検査である.評価のポイントは多いが,病態の把握に特に重要な項目として肺容積,肺野透過性,肺血管影がある.肺容積は肺の病態を評価するのに基本的な情報で,通常は横隔膜の位置を指標として判断する.正常の横隔膜の位置には幅があるが,立位で背側第10肋間に重なることが標準的である.肺透過性の異常はほとんどの肺病変で認められる所見だが,境界不明瞭な場合は意外に指摘することが難しい.左右肺の対応する部位を比較しながら読影する習慣をつけると良い.肺血管については,明瞭さ,太さ,数に注意する.立位では正常の肺血管は上肺よりも下肺で太い.肺血管は肺野病変の評価にも利用できる.血管影が局所的に不明瞭化している場合,その部位の肺野に病変があることを疑う.上記のポイントを意識して胸部X線写真を見ることにより,肺の病態についてより的確な情報を得ることができる.

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© 2015 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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