2017 年 27 巻 1 号 p. 32-35
呼吸リハビリテーションにおける栄養療法として,摂取カロリーの増量に加え,炭酸ガス蓄積を避けるために呼吸商の低い脂肪,蛋白を主とした加工補助食品の使用も勧められる.重度呼吸障害症例において,食事は強い運動負荷として影響を与え,低酸素血症を誘発することも多く見られる.
食事は,栄養補充のみならず,日常の生活パターンを維持し会話と環境を楽しむ大切な機会である.食事を苦痛に感じることは,抑うつ状態を誘発し,ひいては運動量減少に伴う筋萎縮を誘発,デコンディショニングを進める可能性がある.呼吸リハビリテーションは身体的,精神的そして,社会的活動を改善し,幸せな生活を送ることが最終目標である.継続できる栄養療法とは,日常の食事の中で,おいしく,手軽に,楽に,思いとともに食べることが基本である.そのために上手に加工用補助食品を使用することも有効である.