超音波検査技術
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研究
皮膚科領域における表在エコーの超音波診断能の検討
松野 寛子渡邉 恒夫中山 純里高田 彩永篠田 貢一野久 謙伊藤 弘康水谷 陽子清島 真理子
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2018 年 43 巻 5 号 p. 573-579

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抄録

目的:超音波検査(Ultrasonography: US)は簡便で非浸襲的な検査であり,表在病変の有無や性状,サイズ,深達度について評価できることから皮膚科領域においても大変有用な検査法である.しかしながら,乳腺や甲状腺などの表在腫瘤に比べてその診断能に関する報告は少ない.本研究では,皮膚・皮下腫瘤におけるUS所見と病理組織学的所見を比較し,USの診断能について検討した.

対象と方法:2016年1月から6月までの6か月間に,当院皮膚科外来に皮膚・皮下腫瘤を主訴に受診しUSを実施した患者のうち,病理組織結果が確認できた93例について後ろ向きに検討した.検者による主観的な良性あるいは悪性の評価に加え,日本超音波医学会の甲状腺結節超音波診断基準を基に腫瘤の性状を0~2にスコア化しReceiver Operating Characteristic curve(ROC)解析による客観的評価を行った.

結果:病理組織結果は,良性74例,悪性19例であった.USの主観的評価による良性・悪性の判別離は,感度94.7%(18/19),特異度90.5%(67/74)であった.一方,ROC解析による客観的評価では,良性・悪性のカットオフ値が6(Area under the curve=0.739, p<0.001)のとき,感度84.2%,特異度64.9%であった.

結論:今回の検討において,皮膚科領域におけるUSについては,画像のみによる客観的評価には限界があることが示唆された.より正確な診断をするためには,US画像のみの評価ではなく,触診や視診などの情報,組織学的特徴を理解しておく必要があると考える.

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© 2018 一般社団法人日本超音波検査学会
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