超音波検査技術
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研究
正常膵の超音波画像の特徴と急性膵炎の診断を難渋化させる因子の解析
三浦 大輔樋渡 梨乃石橋 詩穂重原 志洋藤野 由梨奈溝上 恭代崎田 光人
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2019 年 44 巻 2 号 p. 230-239

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抄録

目的:本研究の目的は,急性膵炎の超音波(US)診断を難渋化させる因子を解析し,US診断正診率の向上に寄与することである.

対象と方法:研究対象は2009年12月~2016年10月までに当院にて急性膵炎(acute pancreatitis: AP)と診断された症例で,CTよりもUSが先に施行された124名である.これらをUS診断から後ろ向きに“診断不能群”,“弱い疑い群”,“強い疑い群”の3群に分けた.また,健常コントロール群として600名の正常膵に関して,エコー輝度と腫大の関係を検討し,AP群とも比較した.3群に分けたAP群は各種画像所見(US,CT)や臨床所見を比較した.なお,エコー輝度は輝度0, 1, 2型の3段階に半定量化した.

結果と考察:1)正常膵のUS画像において,特に膵頭部の厚みはエコー輝度と強く関係した(p<0.001).また,エコー輝度と膵臓の厚みには正の相関を認めた.2)健常コントロール群とAP群のエコー輝度を比較したところ,両群間に有意差を認め(p<0.001),AP群で輝度0型が多く,輝度2型が少なかった.また,エコー輝度別に健常コントロール群とAP群の膵臓の厚みを比較したところ,輝度0型と1型では有意にAP群で高値を呈し(p<0.001),輝度2型でも同様に高値の傾向を示した.3) AP3群間で各種画像所見や臨床所見を比較したところ,“膵のエコー輝度(p=0.026)”,“膵腎周囲fluid貯留(p<0.001)”,“膵周囲脂肪織肥厚(p=0.005)”,“尾部限局だけ膵炎(p=0.007)”のUS所見4項目にのみ有意差を認め,特に“膵腎周囲fluid貯留”はすべての群間で有意差を認めた.

結論:1)急性膵炎においても腫大の判断はエコー輝度別にされるべきである.2)膵腎周囲fluid貯留はもっとも重要な所見であり,これを検出できない場合が最も診断に難渋する.3)尾部限局膵炎は診断に難渋する.

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© 2019 一般社団法人日本超音波検査学会
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