超音波検査技術
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研究
潰瘍性大腸炎初発患者の診断時期による超音波検査所見の検討
小野寺 亜希平田 真美佐藤 祐輔
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2022 年 47 巻 3 号 p. 245-251

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抄録

目的:超音波検査(US)を先行して施行した潰瘍性大腸炎(UC)初発患者の患者背景と診断時期により重症度に差がないか検討した.

対象と方法: 2014年1月~2019年12月の間にUCが鑑別に挙がる症状を有し受診したUC初発患者33例を対象とした.初回のUS所見からUCを疑い大腸内視鏡検査(CS)等で確定された症例を初診時診断群,初回のUSで所見はなく症状が持続・反復するため再診した際のUSでUCを疑う所見が出現,その後確定された症例を再診時診断群とし,患者背景,UCのUS grade, 罹患範囲について比較した.

結果と考察:初診時診断群は27例,再診時診断群は6例であった.患者背景のうち病悩期間に統計学的有意差を認め(p<0.05),再診時診断群は症状が現れた中でも早い段階で受診をしていた.US grade, 罹患範囲に有意差は認めなかった.UCを確定診断するには他の炎症性疾患を除外することが重要であり病悩期間が短い患者には注意を要する.診断確定にはCS等が必要であるがすぐに施行できない場合が多い.USは非侵襲的かつ簡便でUCを疑う症例を拾い上げる上で最初に施行する画像検査に適していると考えられる.UCは早期診断よりは正確な診断が望まれることからUSで所見が顕在化してからの確定診断も有効であったと考えられた.

結論:潰瘍性大腸炎初発患者では,初診時診断群に比べ再診時診断群で病悩期間が短かったが,その他の患者背景や診断時期による重症度に差はみられなかった.

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© 2022 一般社団法人日本超音波検査学会
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