超音波検査技術
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症例報告
術前診断が困難であった大網内副脾梗塞の1例
大木 奈海北浦 幸一平田 信人中路 聡西脇 拓郎川手 優人伊藤 憲佐佐藤 隆久金輪 智子本間 善之
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2026 年 51 巻 1 号 p. 19-25

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抄録

副脾は無症状で経過することが多いが,まれに茎捻転,梗塞をきたすことがある.今回術前診断が困難であった大網内副脾梗塞の1例を経験したので報告する.症例は10代,男性.左下腹部痛を主訴に近医を受診.左下腹部腫瘤が疑われ,当院へ紹介となった.画像検査では確定診断に至らず,診断・治療目的に手術を施行した.USでは左下腹部に28×28 mmの類円形低エコー腫瘤像を認めた.境界明瞭,輪郭整,内部不均一.辺縁に血流シグナルを認めたが,内部には認めなかった.腫瘤より連続する索状物を認め,左肋弓下まで追跡可能であった.索状物は血管のように描出されたが血流シグナルは乏しかった.病理所見で索状物は栄養血管であり,一部血栓性閉塞をきたしていた.腫瘤内の大部分は壊死状態で,不鮮明ながら副脾の構造が観察され,副脾梗塞と診断された.副脾梗塞は栄養血管の捻転によるものが多く,本症例でも手術中に捻じれた血管が確認された.副脾のUS像は通常,脾臓と同等のエコーレベルを呈するが,本症例では内部低エコー不均一であった.これは壊死像を反映したものと考えられた.また血管である索状物の血流が乏しかったのは,捻転したことにより血流がうっ滞し,血栓性閉塞をきたしていたためと考えられた.副脾の発生部位が多岐にわたることを念頭に置き,索状物を伴う境界明瞭な腫瘤を認めた場合は,まれではあるが副脾を鑑別診断として考慮することが重要である.

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