日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会誌
Online ISSN : 2434-3056
Print ISSN : 1882-0115
原著
ストーマ保有者の装具備蓄状況と災害時対策を記載した手帳の有用性
松原 康美井口 美奈枝佐藤 美和片岡 ひとみ加藤 昌子近藤 恵子酒井 透江山田 尚子
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2009 年 25 巻 2 号 p. 9-19

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抄録

 本研究の目的は、ストーマ保有者の装具備蓄状況と、災害時対策を記載した手帳がストーマ保有者にとって有用であるかを調査することである。外来通院中のストーマ保有者107名に面接調査を行った結果、56%が災害耐用装具を備蓄していた。災害時用装具を備蓄している割合は、術後1年未満の群(12%)よりも術後1年以上の群(44%)の方が高く、両群間に有意差がみられた。
 手帳を読んだストーマ保有者の回答を分析した結果、1)災害時対策について考える余裕がない、2)災害時対策の重要性を実感する、3)ストーマケアに関する災害時対策について理解する、4)災害時に備えて手帳やカードを活用する、5)災害時装具を備蓄するの5カテゴリーが抽出され、術後年数による違いがみられた。ストーマ保有者は、手帳を読むことで新たな情報を得、災害時対策について再認識していた。さらに災害時対策に関する意識の変化や行動につながっていたことから手帳の有用性が示唆された。

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