2020 年 36 巻 3 号 p. 86-93
【目的】ストーマ閉鎖術における手術部位感染(Surgical Site Infection, SSI)を含めた術後合併症の発生状況を検討する。
【方法】2010年~2019年に当院でループストーマ閉鎖術を施行した症例を対象に、SSIを含めた合併症を、特にストーマ創部閉鎖法との関連に関して検討した。
【結果】対象症例は54例で、男性31名、年齢中央値68歳であった。ストーマ部位は横行結腸33例、回腸19例、S状結腸2例であった。吻合方法は器械吻合33例、手縫い吻合21例で、創閉鎖法は環状縫合閉鎖法48例、半閉鎖法4例、ベンツマーク法2例であった。創閉鎖部のSSIは全合併症の42%を占め、SSI発生率は全体で9.3%、環状縫合閉鎖法8.3%、半閉鎖法25%と環状縫合閉鎖法で低率であったが有意差はなかった。術後入院日数中央値は、無合併症例の10日に対してSSI発生例は18日と有意に長かった。SSI発生のリスク因子に関して、ストーマ部位、吻合法、創閉鎖法、患者因子、術者間で比較したが有意な差はなかった。
【結論】SSI発生により入院期間延長に関連を認めたが、環状縫合閉鎖法のSSI発生率は8.3%と低率であった。