現実世界では、道具は常に活動に埋め込まれている。本稿では、活動と道具を相補的な関係としてとらえ両者を一体のものとしてデザインすることについて考察する。ミュージアム学習を目的とし、視覚的な構成作品制作のツールとそれを利用する表現活動をデザインし開発した。そしてそれらを用いて、来館者が表現活動をするワークショプとして実施した。ミュージアムは、特定領域の知識情報を保管管理し、人々に当該知識や関連する経験を提供する社会的な文化施設である。そこでの一方向の「提供」を双方向の「提供し合い」に拡張することによって、来館者とミュージアムを運営する人々の両者にとっての、新たな価値形成の場を構築できるはずである。そのためには、来館者が表現すること、つまりインプットするだけなくアウトプットするという、新たなミュージアム活動をデザインすることが必要となる。