抄録
近年,電子回路による演算によって波形を合成し,出力する楽器が使われるようになってきている.これらは一般的に,あらかじめメモリに記憶しておいたサンプル波形を元として音を生成する手法やsin波の合成によって波形を生成する手法が用いられている.これらの手法を用いた楽器では,1つの音律を出力するだけでも楽器の内部で何段階もの信号処理を必要とする.そのため,そのインターフェースは複雑化し,従来の楽器がもっている演奏の手軽さが失われ,初心者にとって入門しにくさを感じさせる要因となっている.そこで,本研究では従来の発音のメカニズムを見直し,感覚的に演奏することが可能な電子制御型楽器を開発することで,ユーザビリティの向上を試みる.