平成21年より,OTC医薬品(Over-The-Counter drug)は外箱上にリスク分類表示を表示することが義務づけられた.しかし現在のリスク分類表示は外箱に記載しても目立たず,消費者のリスク判断に役立っているかは疑問である.そこで正規化順位法を用い,現在のリスク分類表示が消費者のリスク判断に与える影響を評価した.被験者には4つの異なるOTC医薬品外箱を渡し,リスクの高いと思われる順に並べるよう教示した.その結果リスク分類表示が正しい場合もあえて本来のリスク分類とは変えてある場合も,並べる順序にほとんど違いは見られなかった.リスク分類表示は副作用の程度などを示す重要な情報であり,消費者の医薬品に対する知識の程度に関わらずリスクを判断する際の手がかりにできる必要がある.そこで現在のリスク分類表示をビジュアル要素を加えたリスク分類表示に置き換えた外箱を用い,同様の調査を行ったところ,ほぼ表記の通りに並べられた.これらの結果よりビジュアル要素を加えるなどの工夫はリスク分類表示は消費者のリスク判断に役立つということがいえる.