日本デザイン学会研究発表大会概要集
日本デザイン学会 第58回研究発表大会
セッションID: B18
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視覚による事前期待を考慮した触感評価手法
*高辻 賢司柳澤 秀吉
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抄録

製品表面のテクスチャにおいて,デザイナは視覚による期待と触覚による実感との差異から生じる印象の変化(以下,文脈効果と呼ぶ)を定量的に把握することが重要である.期待と実感が異なる場合,例えば「失望」や「期待以上」のように,触感評価に影響を与える可能性がある.本稿では,触感評価における視覚による事前期待の文脈効果およびその要因を明らかとする,テクスチャの触感評価手法を提案する.本手法ではハーフミラーを用いて視覚および触覚サンプルの仮想合成を行い,官能評価を実施する.官能評価の結果,ラフ集合の縮約計算を用いることで,文脈効果の要因となるテクスチャの物理属性の条件を抽出する.提案手法をプラスチック・シボサンプルに適用した結果の一例として,触り心地に寄与する因子である「乾いた」印象の文脈効果を発生させるには,視覚サンプルにおいて平滑面を使用すればよいことが明らかとなった.このように,本手法を用いて,目標とする文脈効果に対して,適切なテクスチャの物理属性を提供することにより,設計者は文脈効果をデザインすることが可能になる.

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© 2011 日本デザイン学会
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